【二次小説】クレムリン軍団とティキ族のお話

クルール「USJではリターンズをモチーフにしたドンキーコング・カントリーが開業し、そのエリアの敵キャラクターはティキ族のボスと。で、その宣伝の為にドンキーコングリターンズHDが来年に発売……って」


クルール「勝手にオレさまの宿敵ポジションを奪いやがって!このアンド〇フもどきがーー!」
ティキトング「ウルサイ!そんなことは任天堂に言エーー!」






スマブラSPでキングクルールが参戦したのを気に彼の知名度は上がったものの、彼の手下であるクリッターやクラップトラップ以外のクレムリンたちは未だに知られておらず。
その前にはドンキーコングリターンズ以降のスパドンシリーズに一切出ていなかったことから、クレムリン軍団の存在自体が忘れつつあった。

一応USJのドンキーエリアの世界観に合わせてリターンズHDの発売は決まったものの、ドンキーコング完全新作の情報は現時点でなし。

そのため、


という彼らにとって想像を絶するネガティブな意見がネットであったのは言うまでもない。
終いにこの情報を悪い意味で受け取り、一部古参のクレムリン軍団ファン(海外)はUSJにまで登場が確定したボス、ティキトングまでをも叩く始末である。

その前もティキ族全般の叩きがあったものの、ねぇ(嫌い、失敗作、醜いデザイン呼ばわりは当たり前)


そんな状況にカーとなって今年の7月11日にて、スマホのメモ帳に台本小説風に書きなぐり創作したものです。

「ティキ族もクレムリン軍団も、そのファンも皆仲良くしようぜ」という願いを込めて。本当のクレムリン軍団ファンは他敵勢力を叩くことはしねえ。

以下私個人が考えるドンキーコングの世界観と注意事項。人によっては解釈違いになるため、予め伝えておきます。

  • レア社特有のメタ要素と一部キャラの毒舌、子供向け任天堂ゲームらしく大半の誰もが死なない世界線。
  • シリーズの発売順に沿って先輩後輩の上下関係あり(敵勢力問わず)。
  • クルールとティキトングが仲悪すぎ設定……?
  • メインの登場キャラについて。ティキ族はエリアボスを担当した奴ら、クレムリン軍団は「シリーズで2回以上」登場したワニ共を採用
    (後者の参考記事→https://www.mizusuraimublog.com/?p=4372)
  • クランプ(たるジェットレースデザイン)やクラッシャの口調や性格は、ややアニドン基準。後者は一応馬鹿だけど年相応を考えて、クリッターよりかはマシにしている。多分。
  • 他クレムリンはドンキー漫画とゲームボイスを、ティキ族は主にリターンズ本編の行動を参考に口調や性格付けをした。特にこの内の「2名」の口がかなり悪めです。ご注意を。

また当初は落書きイラスト込みで絵本風にする予定だったけど、最終的には地の文を追記した小説にしています(おまけ短編は除く)
後日別記事に「修正前バージョン」も投稿します。

ちなみにこの記事の投稿日からドンキーコングリターンズが発売して『14周年』なのと、明後日でUSJのドンキーコング・カントリーもオープンするので、丁度よく投稿してます。
そして主はリターンズを未プレイですが、ティキ族はマスコット系キャラということで元から気になっていたけど、この二次創作の影響で好きになっています。

前置きが長くなりましたがそれでもOKな方はどうぞ。

目次

ラスボスたちの言い争い

スーパードンキーコングシリーズの最新作であるドンキーコングトロピカルフリーズの描写を見る限り『リターンズを最後にティキ族は絶滅した』とプレイヤーたちから噂されているが、どうやらこの世界線ではクレムリン軍団だけでなく、ティキ族も同時に存在しているようだ。
敢えて言うならメタな世界線……つまりスーパードンキーコングシリーズを生み出し、スーファミ史上の高グラフィックでプレイヤーを魅力した『レア社』ならば、恐らくやりかねないだろう。

今回の話はそんな世界線の中に現在の時間軸で、キングクルールがティキ族のアジトに単身で乗り込んで来て、ティキ族の大ボス『ティキトング』に文句を言っている最中……いや、ただの愚痴に近いか。


「グヌヌ、そんなことよりか、オヌシは最新作のスマブラでファイターとして参戦しているだろう。何を今更」
「あれは任天堂キャラクターとのコラボ作品なの!ていうか、オレさまもう17年以上もドンキーコングシリーズに出ていないんだけど!」

(ワシだって一作品にしか出ていないというに。むしろ以前からワシより優遇されていたではないか……)

「本来なら宿敵ポジションとして以降のドンキーコングシリーズで、大活躍するはずだったこのオレさまが、こんな『動物を洗脳するしか能がない無機物ら』にUSJでの出番も奪われるなんて……」
「ナッ!おのれこのワニ公が!ワシらティキ族を馬鹿にした事を後悔させてやる!」
「ほう、単騎でやる気か?いいだろう!また貴様をボコボコにして今日もオレさまの連勝を飾ってやるわ!」

ティキトング様のために勝利を

「アー、また始まってしまったカ……」
「止メナイノデスカ?」

ティキトングの参謀にしてティキ族の幹部リーダーである『ディオン』と、おしゃべり好きな幹部メンバーの一体『カディリー』である。
本来ならティキ族のボスであるティキトングのために協力してクルールを倒す筈が、ただ見守ることしか出来ない状況である。

何故なら……

「どうせ戦闘能力がない私たちが加勢したところで足手まといになるだけだ。大量のバナナがあればティキトング様の両手となりえるが……」

~回想~

『両手ヲ、持ッテシテモ、勝テナイトハ、ガクッ……』
『ガハッハッ!!最近の後輩共は口ほどにもない!ドンキーコングを倒すのはこのオレさまで十分だ!』



「……」

ある時、幹部メンバーたちと共にティキトングの両手として加勢したものの、クルール単騎でボコボコにされたことを思い出したディオンは、

「前回と同じく負けるだけだ」
「悲シイ……」
「……。そう言えば、あのデブワニには手下が沢山いるんだったな」
「エッ? ディオン様?」
「集エ!ティキ幹部衆!」

ディオンがそう叫ぶと、続々と集まるティキ族の幹部メンバーたち。ディオンは彼らに事情を説明すると……

「……ということだ。あのデブワニの手下共を洗脳してティキたちの仲間に加えロ!今度こそティキトング様に勝利を与えるのダーー!」
「「オーーッ!!」」

ティキ族。
ボスであるティキトングを除き特別な戦闘力は皆無であるが、幹部クラスにもなればそれぞれの楽器を奏で、動物を操ることが出来る。場合によってはその動物に取り憑き、力を与えて戦力として利用することも可能である。

さて、まずは……

クリッターたちを洗脳しよう

ここはバナナジャングル。初代スーパードンキーコングとドンキーコングリターンズでは最初に挑むステージである。

どうやらここの近くに暮らしているドンキーコングたちは色んなマリオ作品に出ていて不在らしく、今は敵キャラクターのみが原作通りうようよいる。しかしバナナを盗むなどの悪事を起こすことはなく、あくまでゲーム本編での話のようだ。

「お!スマブラのフィールドスマッシュ以来だな!」
「久しぶり!えっと名前は……」
「キキッ?」

おや、久しぶりに鳥型のティキ族『ティキドリー』を見たクリッターふたりが仲良く会話しているようだぞ。これからディオンたちに操られることも知らずに吞気な奴らだ。

「名前は忘れたけど、あのティキ族とかいう奴らの……」
「そうそう、それだ!でもコイツがいるなんて珍しいよな~」
「だよなー、なんでティキ族の雑魚敵がここに」

そういうお前らも雑魚敵である。

すると彼らの目の前にある草むらからガサゴソと音が聞こえたかと思うと、何かが飛び出してきて、

「見つけたゾ!下っ端のワニ共!」
「ウワッ!? 何だこいつは!?」
「ティキ族のディオン様ダ!覚えておけこの筋肉ダルマ! マア、今から覚えずとも……」
「「ーー!?」」

いつの間にかティキ幹部衆の数体が驚いているクリッターたちを取り囲むと、皆で楽器を鳴らし催眠術かける。

「洗脳して無理矢理言わせるだけだからナ、ククク……」
「ハイ、ディオン様」
「ティキ族、バンザイー」

そこら辺にいる野生動物と変わらないのか、簡単に洗脳することが出来たようだ。

「オー!上手クイッタナ!ゴーーン!!」
「コノ調子デ、ドンドン行クジョ〜!」
「プアァ……」

先程クリッターたちを操った幹部メンバー3体。
声もゴングの音もやたらと大きい『ゴングオー』と、マヌケな見た目でバンジョーを奏でる『ボンジョ』、そして眠たそうな顔をしながらパイプを鳴らす『ワッキーパイプ』である。

久しぶりに得意な演奏で獲物を洗脳出来て嬉しかったのか、または調子がいいのか、まだ遠くにいそうなクリッターたちを探しにいくようだ。

「見タ目ハ、厳ツイノニ、簡単ニ洗脳デキマスネ」
「そうだな。むしろ『馬鹿』だからこそ操りやすいのかもナ……」

一方でディオンはカディリーと共に洗脳したクリッターたちをおとりに、ここら周辺を捜索しているようだ。やはりティキトングの参謀兼ティキ族の幹部リーダーらしく、非常に頭が回る奴である。

すると、

「ンギャー!」
「リー、ザイロボーンノ悲鳴ダ!」
「今向かうゾ!」

どうやら仲間のピンチのようだ。ディオンは即座に別行動をしていた『ザイロボーン』のところへ向かうと……

「どうしタ!何があっタ!」
「食ベラレルー!」
「ハナレロ!ハナレロ!」
「コノコノー!」

本当にピンチだった。
クラップトラップという四足歩行の子ワニに噛みつかれており、いつも一緒にいるイタズラ好きなマラカストリオ『マラ、カッキー、ラスキー』が何度も奴に乗ってザイロボーンを助けようとしていた。

こんな光景にディオンはため息をつきながら、

「……普通に洗脳して離せば良いだろう」
「ア、ソウダッタ、シャカシャカ〜!」

と身体を揺らして音色を鳴らすマラカスたち。クラップトラップは操られ、ザイロボーンを離したようだ。

「タ、助カッタ……」



しばらくして、クリッターやクラップトラップたちを集める。
通常のクリッターが30と青いクリッターが10、クラップトラップが10。総勢50体ほどか。

「クリッター、クラップトラップ、馴染みのあるクレムリン軍団の雑魚敵だナ」
「クレムリン軍団ニハ、ソノ他ニモ、上級兵トナル者ガ存在シテイルラシイデス」
「『クランプ』と『クラッシャ』といったか。しかし上級兵といっても雑魚は雑魚。初代ではただウロウロしているだけで、ドンキーコングが踏みつけやローリングで倒せるほど弱かったみたいだゾ」
「「ヘー」」
「さらにアニメ版ではクルールの傍に仕え、レギュラーキャラクターとして大活躍していたらしいが…… ククッ、あのボスからアホやマヌケ、大ボケ呼ばわりされるほど、相当馬鹿だったみたいだナ」
「ソレッテ、ツマリ……」
「アイツらも洗脳しやすいってことダ! さらに戦力を増やしつつ、あのデブワニを絶望させるのダーー!」
「「オーーッ!」」

どうやら次の標的が決まったようだ。果たしてクレムリンの上級兵である彼らを操り、今後こそクルールをやっつけることが出来るのだろうか?

新敵、登場……?

「何やら騒がしいと思ったら……」
「敵の襲来であります!名はティキ族!」

おっと、操られていないクレムリンがまだいたようだ。二足で立っているクレムリンだがクリッターたちより小さく、クラップトラップよりやや大きい子供のワニである。

「ディオン様! 今度ハ、ヘルメットヲ被ッタ黄色イワニガ……」
「ナニ?……ウン? こんなワニ、スーパードンキーコングシリーズに登場していたカ?」
「何と失礼な奴!スーパードンキーコング3に登場した『コプター』を覚えていないとは何事か!」
「アー、プロペラで空を飛ぶあのワニ共か。立っている状態だったから一瞬誰だか分からなかったゾ」
「「ムムッ」」

これにはムスッとする子コプターたち。やはりキャラクターであるからこそ、誰かに忘れられるのは不快なのだろう。

そこでディオンは彼らの活躍を思い出したかのように、

「どうやら3をプレイしたプレイヤーたちから相当嫌われている無敵の雑魚敵、だったみたいだが……」
「「エヘヘ」」
「これは…… 絶対に仲間にするべきだナ!」

と自信満々に頭のアコーディオンを鳴らして、子コプターたちを洗脳しようとするディオン。

……だったが、彼らが目を回して操られる様子もなく。

「アレ? 私の洗脳が効かないだト……!?」

この私が引き間違いなどするはずがない、何かの間違いかと思い、再び演奏するディオンだったが、子コプターたちは煽るかのように笑いながら、

「ヘッヘーン!無敵の雑魚敵であるコプターたちはー」
「なんと、精神攻撃が効かないんだぞー!」
「「ソンナノアリーー!」」

まさかドンキーコングやディディーコングと同様に洗脳が効かないタイプだったことに他幹部メンバーも驚く。

このままだと彼らに『反撃』されてしまう。しかし勿論手はあり、

「狼狽えるナ! 流石に無敵の雑魚敵だろうと……」

ディオンは一旦冷静になり、先程操ったクリッターたちに攻撃を指示を出すように手を前に挙げる。

それを合図に隠れていたクリッターたちが一斉に子コプターたちの方へ向かうと、

「「ウオオーー!」」
「「ワーッ!」」
「こんな筋肉ダルマ共を全滅させることは出来ないだろうしナ!」

いくら無敵の雑魚敵とはいえ、流石に筋肉ダルマの数が多すぎた。一気にボコボコにされて、ダウンさせられる子コプターたち。

「くぅー まさか、大量のクリッターを、操っていたなんて……」
「なんて、卑怯な……」
「敵キャラクターは卑怯な手を使って当然なのダ」

もう完全にこちらの有利が取れたので、幹部メンバーたちは子コプターを取り囲む。

(流石に全員分なら効く筈ダ……)

「サア、大人しく言うことを聞きナ!」

形勢逆転。このままだと彼らに『洗脳』されてしまう。そう思った子コプターたちは、


「そうだ、こんなピンチの時は……」
「「親分助けてーー!」」

凶暴ワニのご登場!?

「ハ、親分?」
「アノ、コプターニ、親分ナンテイマシタッケ?」
「マア、どうせ来ても同じサイズの雑魚……」
「ドワーー!」
「プァ? ウギャ!」

突然、吹っ飛ばされた一体のクリッターに押し潰されるワッキーパイプ。

「「ワッキーパイプ!?」」
「一体どうなって…… ア」
「お前たちか! このコプター様の可愛い子分を虐めたのは!」
「「親分!」」

間違いない。彼らが『親分』と慕っている個体のコプターだ。
こちらは細身で目付きが悪いものの、格好や体色的には子コプターが本当に成長したかのよう。どうやら子コプターたちを傷つけたことに明らかに怒っているようだ。

これには「ア、終わった」と固まるディオン。不味い、このままではティキたち全員、コイツにやられると。何とかしてこの状況を切り抜ける方法を考えていた。

しかも今回の首謀者を理解していたのかコプターはディオンの前に赴き、

「お前がリーダーか。随分と弱い奴だなァ」
「グサッ…… ス、スーパードンキーコング3で、ボスキャラクターとして活躍したアナタニハ、そう見えますヨネ……ハハ」

さっきまでの威勢はどこに行ったのか。自分より強い者を前にへっぴり腰になるディオン。それも弱いと言われつつ。

「アッ? ボス?確かに昔は雑魚敵を経験したが、このキャラクターデザインで出たのは『ドンキーコングたるジェットレースのみ』だぞ。……まさか知らなかったのかァ?」
「ギクッ!?」

(ボ、ボスキャラクターではなかったノカ!? しかも、知らないゾ、そんなゲーム。かくなる上ハ……)

ドンキーコングシリーズに登場するコプターというキャラクターに対して無知を晒してしまった失態。
どうやら確実に自分がやられてしまうことを悟ったディオンは、コプターを洗脳しようする。悪役らしい無駄な悪あがきである。

「?」
「サア、大人しく言うことを……」
「聞くわけないだろ」
「ウボァーー!」

しかしそんな洗脳がコプターに通用するわけもなく、持っていた大きなプロペラで即ぶっ飛ばされるディオン。これには残りの幹部メンバーたちは混乱する。

「ギャー!!ディオン様ガヤラレタ!!」
「「ドウシヨ、ドウシヨ」」
「コ、コウナッタラ…… 全員デ、攻撃ーー!」
「「ウオオーー!」」

幹部のリーダーであるディオンが返り討ちにあったため、代わりにサブリーダーであるザイロボーンが指示を出して洗脳したクリッターたちをけしかけるも……

「ハッ、無駄なんだよ!」
「「ドワーー!」」

とプロペラでクリッターたちを吹き飛ばすコプター。しかも片手であったことから、

「ヒ、一振デ全員吹キ飛バシターーッ!?」
「マッチョナワニナノニーー!」

ザイロボーンとカディリーは目を飛び出して驚く。

「「オラオラオラァ!!」」

今度は青クリッターたちが腕を振り回しながら攻撃してくる。当たればひとたまりもないラリアット攻撃だが、コプターは華麗に回避して、

「甘い!むしろこっちの方が強力だぞー!」
「「グワーー!」」

と彼らに対抗するかのように二本のプロペラを回転させて攻撃。

そんな細身の身体で大きなプロペラを軽々と振り回し、馬鹿筋肉ダルマ共を吹き飛ばす力がどこにあるというのか。もはやクレムリン軍団の元雑魚敵を通り越して、本当にボスキャラクターの強さである。

「スキアリワニ!」

しかし洗脳されていたのはクリッターだけじゃない。後ろからクラップトラップがコプターに噛み付こうとするが、

「させるか!」
「アガッ!?」

と、硬いヘルメットでクラップトラップの噛みつきから守る一体の子コプター。これにはコプターも「良くやった!」と褒める。

「「覚悟ーー!」」

とクラップトラップたちを次々に倒していく子コプターたち。やはり彼らも先程の不意打ちさえなければ下っ端のクリッターやクラップトラップ以上に強く、親分想いの頼もしい奴らである。

「ツ、強イ、強スギル……」
「一先ズ、逃ゲロ〜!」
「ソウダ、コンナ凶暴ナワニ、倒セルワケガ……」

これには怯えてその場から動けないザイロボーン。逆に勝ち目がないと仲間を置いて真っ先に逃げ出すボンジョに続いて、カディリーも後ろを向いて逃げ出そうとしたが、

「リーー⁉」

突如大きなプロペラがカディリーの目の前に落ちて突き刺さる。そして彼は恐る恐る後ろを振り返ると、

「凶暴なワニとは、随分と褒めてくれるじゃないかァー。むしろ洗脳しか取り柄のない奴らなんて、今伸びているコイツらと変わんないしー」

コプターは倒れているクリッターたちに後ろ指を刺しながら、プロペラを片手にカディリーたちのところへ歩み寄ってくる。あまりにも恐怖過ぎて、カディリーだけでなく皆が皆、ザイロボーンの後ろに隠れる。

「「ガタガタ……」」
「それに雑魚後輩の分際でクリッター共を操り、コプターたちに手を出した落とし前……」
「「ーー!?」」

と、コプターはプロペラを彼らの目の前に勢いよく叩きつけて地面にめり込ませる。そして、




「今此処で付けて貰おうか?」

ただの脅しか、はたまたガチで彼らを壊す気なのか。その表情はまるで何もできない彼らを追い詰め、蔑んだ目で嘲笑しているガチの悪顔だった。

これにはカディリーたちも、

「「ス、スミマセンデシターー!」」

泣いて逃げ出すしかなかった。

クランプとクラッシャが来たぞ

「ケッ、逃げる雑魚共には興味ない」

戦闘力皆無な弱い奴らをこれ以上追いかけることはせずに、やれやれな仕草でプロペラにもたれるコプター。

「あれ? オレさまたちは、一体何を……」
「ワニー?」

さらにコプターたちが攻撃した影響により、洗脳が解けるクリッターたち。皆、頭を搔くだけでダメージは最小限に抑えられていたようだ。

一方コプターに脅されて逃げたカディリーたちはというと、

「イテッ!」

と先頭のカディリーが逃げている最中に何かにぶつかった。続けて他メンバーたちも一斉にぶつかる。

その正体は先に逃げたボンジョ、いや、それどころか、

「もう、駄目じゃないかコプター君。後輩ちゃんたちを脅かしちゃ……」
「ッテ、今度ハ誰ダヨ。シカモ、何カ、バケツ被ッテイルシ」

カディリーが上を見上げるとそれはクリッターたち以上に大きくて、ふくよかな茶体色のクレムリン『クランプ』であった。
また彼が突っ込んだ通り、木製のバケツを被っている。一見優しそうに見えるが、初めてティキ族を見たために目を輝かせながら、

「へ……」
「こんなに個性的で可愛いのに〜」

と彼らを笑顔で抱きしめるクランプ。まるで可愛いぬいぐるみを沢山抱いているかのようだ。

「ンギャーー!」
「厚苦シーー!!」
「ヤメテ〜!」
「あはは、これはマラカスかな〜」
「「ワーー!」」

しかし彼らにとっては地獄のようだ。抱き締められ振り回されと散々なのだから。

「クソーー!穏ヤカナ見タ目ニ反シテ、アイツモ何テ凶暴ナ……」

だが唯一カディリーのみが、コプターやクランプから逃げ出すことが出来たぞ。要するにこのままコイツだけが逃走に成功……

ガシッ!

「ハ?」
「オッ、めずらしい鳥だな! 今日の晩メシかー?」
「鶏肉ジャナイヨーー!」

が、しかし、最終的にクリッター以上にガタイのいい青体色のクレムリン『クラッシャ』に捕まったぞ。こちらは今から食べられそうだ。

倒れているディオンはそんな予想外から来たコプターたちの登場、そして本来自分たちが操ろうとしたクランプやクラッシャから散々な目に遭っている仲間の光景を離れたところで見ながら、

「ワニ、怖イ、モウ、操リタクナイ……ガクッ」

こうして返り討ちに遭ったティキ幹部衆は、クレムリン軍団を洗脳しないことを誓うのだった。

おまけ

後輩の名前が覚えられないクラッシャ

その後何だかんだあってクレムリン軍団とティキ族は和解。ドンキーコングの敵勢力しか立ち入れない酒場で和気あいあいと話すことに。
そこでカディリーはクラッシャに再び見つかると……

クラッシャ「あ、昼間の鳥」
カディリー「ガクッ、鳥ジャナイ!『カディリー』ダ!」
クラッシャ「おうー 難しい名前だな……」
クリッター「ですよね〜 もっと簡単な名前とか無かったんですかねぇ」
青クリッター「例えばオレさまたちみたいにイニシャルが『K』から始まる名前とか」

カディリー「ソレ、ティキモ、Kカラ始マル……」
クロバー「むしろ『ク』がいっぱいあるイメージだなー。クロバー、クリッター、クラップトラップ……」
クロバー2「クラッシャ先輩とクランプ先輩も!」
クリッターたち「「おお、本当だ!!」」

クラップトラップ「クルールサマモ、イルワニ!」
クロバー「あ、イケね、忘れてたー」
クロバー2「てへぺろー」

カディリー『ズコーー』

カディリー「モウー、アナタ達ノ頭ノ悪サニハ、ウンザリダ!ソノ点クランプ大先輩ハ半日デ、ティキタチノ名前、全員覚エタノニナ」
青クリッター「スッゲェ!流石クルールさまの参謀だ!」
クリッター「それを言うなら後輩想いの超大先輩だな!」

クラッシャ「アイツ…… やっぱりスゴいな。オレも後輩のクレムリンたちから好かれてはいるが、他勢力の後輩にはまだまだのようだ」
カディリー「ダカラマズハ、ティキノ、名前ダケデモ、覚エテ下サイ」
クラッシャ「おう、そうだな! えっとお前の名前は……ガ、カ、カデ」
カディリー「ハッ!モシカシテ、ヨウヤク……」

クラッシャ「すまん、やっぱり鳥で」
カディリー「期待シタノガ馬鹿ダッターー!」
クラッシャ「あ、冗談だよ、カディちゃん!もう覚えたからな!」
カディリー「『カディちゃん』!?」

ゴングオー「オー!! アダ名デ呼バレルナンテ!!」
マラカストリオ「「イイナ、イイナー」」
ボンジョ「ウラヤマシイジョ~」
ワッキーパイプ「ウラヤマ……」

カディリー「……。デモ可愛イカラ、イイカ!」

このカリンバ、満更でもない様子である。

後輩を叩きたいコプター

ザイロボーン(アレガ、クラッシャ先輩カ。見タ目ハ怖ソウダケド、案外優シイノダナ……)

コプター「フーン、これは丁度いいな。突然だけど、叩かせてくれないかなァ?」
ザイロボーン「エッ!?」

ザイロボーン(アノ暴レテイタ、コプター先輩ダ!モット怖イ奴ニ、声掛ケラレタ。シカモ、叩クッテ……)

ザイロボーン「モ、モシカシテ、アノプロペラデ……」
コプター「んわけないだろう。お前は木琴なんだから専用のスティックで叩く。それが楽器演奏の常識ってもんだろ?」

ザイロボーン(ナ、ナンダ、ティキデ演奏シタカッタダケカ……)

ザイロボーン「ア、ソレナラ、ドウゾ、デス」

ザイロボーンは木琴を叩くバチであるマレットをコプターに手渡す。

カディリー「マサカ、ザイロボーンガ、演奏サレル羽目ニナルトハ……」
クラッシャ「そういやコプターが楽器を演奏するところ、聞いた事ないなー」
クリッター「どうなるんですかねえ〜」

ザイロボーン「ヤ、優シクシテ下サイネ……」
コプター「へッ、当然だ。じゃあ行くんだぞ〜」

♬.*゚〜

クリッターたち「「オー!スゲー!」」
クラッシャ「中々やるな〜!」
カディリー「リー、素晴ラシイ〜!」

ザイロボーン(ナンテ美シイ演奏ナンダ…… 凶暴ワニダト思ッテイタケド、マサカ打楽器ヲ、コンナニモ上手ク扱エルトハ……ソレニ、ナンダロウ……コノ感ジ……)

コプター「……」
ザイロボーン「ア、ア、ア」
コプター「少しだまれ」 バコッ!
ザイロボーン「ンギャーー!(目ガァァーー!)」

この木琴も、満更でもない様子である。

THE END……?




































ボス同士の決着

一方その頃。
クレムリン軍団とティキ族が初めて出会ってたった一日で仲良くなっている中、大ボスであるクルールとティキトングはまだ戦っていた。やはり、ボス同士だと仲良くなることは無理なことなのか。

しかし既にこちらも勝負は付いていたようで。

「はあ~相変わらずつまらん戦いだ。ただ大きいだけの無機物ごときが。単騎で挑むからそうなるのだ」

クルールはそんな倒れているティキトングを見つめると彼を罵倒する。

流石ドンキーコングと何度も勝負を繰り広げていただけはある。
いや、むしろゲーム本編でドンキーコングと1回しか勝負をしたことがない奴に遅れをとるほど、弱くはないのだ。

「しかし、またこれでオレさまの勝……」
「……マダダ」
「ーー!? なにッ!? 部下はいないはずが……」

何故両手が生えているんだ!と言う前にティキトングの両手に捕まるクルール。

「カカッ、油断したナ」
「……や、やるな。まさかこれほどの力を、隠し持っていたとは」
「今までのワシとは違うのだ。幹部の力を借りずとも、このくらいは……」
「ウグアァァー!」

ティキトングはそのまま両手でクルールの全身を締め付ける。通常よりやや小さいサイズ感だがそれでも握り潰す力はあるらしく、これにはクルールも声を荒らげる。

「アガッ、ッ、攻撃は、そ、それだけかァ……! あと、相手を、拘束するなら……」
「ムッ?」
「手も封じないと、いけないだろうがよーー!」

ただし手や腕は普通に動かせたようで、ティキトングにラッパ銃を構えるクルール。その距離、実に数十センチ。

しまった、このままだとこの攻撃で確実にやられる!と察したティキトングは、

「! そうはさせん!」
「ハ…… ドワーーッ!」

とクルールを投げ飛ばす。しかしそれでも彼は空中で態勢を整え、上からラッパ銃を構えてくる。

「ここでやられろーー!」
「ティキ族の長として!ここでやられるワケには!」

ティキトングは落ちてくるクルールがラッパ銃から鉄球を放つ前に、逆に防御を捨てて両手を高く上げれば、

「いかないのダアァーー!!」

と強力なダブルスレッジハンマーを彼の腰にお見舞いする。
その代償で両手は壊れてしまったものの、相当効いたのか勢いよく下にぶっ飛ばされ、地面にめり込んでダウンさせることが出来た。

しかしそれでもクルールは起き上がり、

「ウギャーー!いってェェなッー!もう少し大先輩を労らんか!」
「ウルサイワ!今まで散々後輩を一方的に痛めつけておいて!で、どうだ!? 降参するのかー!?」
「……」
「……」

お互いに顔を合わせながら沈黙するふたり。先程まで大声で騒いで暴れていたとは思えない光景である。どちらとも既に体力はなかったが、それでもティキトングが顔ごとクルールに組み敷いている状況だ。

故に、この勝負の真の勝者は……




「……。ああ、オレさまの『負け』だ」
「ーー!? う、ウソではないだろうな?」
「逆に聞くがどうしてそう思うんだ?」
「そりゃ、だってオヌシ、死んだフリが得意みたいだからな。どうせこの降参も、実は見せかけでここから反撃……」
「するわけねえよバーカ!」
「バ……!?」

これには呆気に取られるティキトングだったが、クルールはこれ以上戦う意思はないのか座り込みながら腰を押さえている。

「それに死んだフリをしていたのは、お前じゃないか。しかも両手まで作って隠しおって。これは予想外だったぞ」
「ム……」

(大量のバナナとティキトントンたちで試したもの故、一度相手に攻撃をぶつけたり、食らったりするだけで壊れるのが最大のデメリットだがな。ディオンたちにも話してはいないが……)

『ユラユラ……』

塔から地上に落ちて壊れてしまったティキトングの両手から、沢山のバナナとティキトントンたちが出てくる。原作のリターンズでは部下のみが、木っ端みじんになるのだが、この世界線では生存が可能となっている。

つまりクルールは物理的に下っ端の雑魚共に一撃を食らわせられたと言っても過言ではないのだ。

「原作を見て学ぶだけじゃ駄目ということだと分かった。あと最後の一撃が腰に効きすぎた。要するにオレさまの油断だ、負けだ。これでいいか?」
「あい分かった。アア、ついに勝てタ、ティキは嬉しいゾ……!」

今まで散々クルールにボコボコにされて負け続けたのかティキトングは普段の威厳がなくなり、今ようやく自分が勝負に勝てたことに歓喜するのだった。


「ティキトングよ」
「なんじゃ、クルールよ」
「今日のオレさまを倒したんだ。ドンキーコングのもうひとりの宿敵として認めてもよい。ただしお客様を楽しませられなかったら、そのアゴぶっ潰すぞ」
「言われなくて分かってるわい!このティキトング、ドンキーコング・カントリーで、大勢のお客様を楽しませてみせようぞ!」

復活した両手と頭でお辞儀をするティキトング。もうすっかりパーク内にいるクルーである。

「悪役のくせにご丁寧なこった。オレさまは今だにそのエリアに登場すらしていないが、お前ならやれる。折角貰った機会、無駄にするなよ」
「カッ、勿論だ」

既に喧嘩するほど仲が良かったのか、最終的にはハイタッチを交わすふたり。サイズの合わないそれぞれの手で。



ドンキーコングシリーズの完全新作の情報がない中、誰が次にドンキーコングの敵役を担当して我々プレイヤーを楽しませてくれるかは不明だ。
しかしそれでも個性的な敵キャラクター同士。それぞれにファンがついていることには変わりない。

だからこれから先も彼らを応援していこう。それが本当のファンだから。

この作品を制作した者

主に本サイト「みずぶろぐ」にて、絵描き初心者向けにイラストで役立つ情報やイラストの悩み解決の記事公開している、未熟で遅筆な絵描きブロガー。

こちらではオリジナル絵やファンアートの紹介をメインに投稿します。
また「pixivFANBOX」支援者限定で最新絵の進捗メイキング動画を先行で上げているので宜しければ。

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