前回初めて投稿した二次小説を派生した話。こちらはクレムリン軍団メイン。軍隊モチーフの彼らなので、色々調べて書きました。特にワニだからこそ、人間では有り得ない一面も見られるぞ。
- 前回の設定通り、たるジェットレースのコプターがスパドン3のコプターたちを率いている設定。前者をメインにしつつ彼を『(唯一個体の)コプター』、後者を『子コプター』と明記。
- クランプとクラッシャの口調がややアニドン基準。
- その他彼らの過去も捏造している。
- 急ぎで追記したおまけのみ台本小説。地の文はある程度加えたが、気になる場合は通常バージョンに修正するかも。
それでもOKな方はどうぞ。
コプターの朝礼?
コプター。
クリッターみたいにクレムリン島出身ではなく北の『クレミス島』という珍しい島で生まれ、活動していた黄体色のクレムリン。そして小型系のワニで実はこれで成体済みのクレムリンでもある。
地上や水辺で活動することが主なワニにしては珍しく、山や渓谷といった高い場所で活動しており、小さい見た目に反して自身の背丈を超える二本のプロペラを持った状態で全身を回転させながら、空を飛行することが特徴の飛行戦闘員だ。
それどころかプロペラで回っている最中はこちらからの攻撃が一切効かず、また頑丈なヘルメットを被っていることから踏み付け攻撃も通用しない。
まさに避けて進むことしかできない無敵の敵キャラクターとも言える。
バナナジャングルにて。
「いいか、コプターであるお前たちはクレムリン軍団の飛行戦闘員だ。今日は訓練とはいえ、このジャングルではいつ何が起きるかは分からない。だから常にここは戦場と思って精々励むといい」
「サー!勿論であります、親分!」
こちらはそんなコプターたちの中で、たったひとり成長出来たことにより彼らから親分と呼ばれ、慕われるようになった『唯一個体のコプター』だ。
昔からコプターの中…… いや、頭が良いクレミス島のクレムリンの中ではそれ以上の賢さで、特に技術設計の発想力やモノの性質などを瞬時に理解するほど記憶力が突出していた。そのためクルールがクレミス島に来てからは参謀兼、技術指揮官を務めるほど相当信頼されていた。
その活躍が彼をより強くさせたのか成長後は背が伸びて細身の身体つきを手にし、戦闘力も、頭の良さも、そして口の悪さも、あのクルールとは大差ない能力が感じられる。
「では昨日に話した心得をまとめようか。一つ、必ずヘルメットとバックパックを装備して2本のプロペラを常時すること。二つ、複数で固まって行動しつつ単独行動はしないこと。そして三つ目は?」
「サー、対処出来ないことや強敵に遭遇したら……」
「すぐ親分に報告する、であります!」
「よーし、よく言った!もし動けない場合は大きい声で叫ぶんだぞ!」
「「イエッサー!」」
最初の口調から厳しいように見えたが、やはりちゃんとした子分に対しては笑顔で褒めるタイプなのだろう。頭の良いコプターたちなので元からそうだったかもしれないが。
しかし、
「あーちょっと待て、今は寒い季節だ。もしも基地に帰れなかった時に備えて、保温シートと懐中電灯は持ったか?」
「心配ご無用であります!」
「怪我した時用の救急セットも持ったか?」
「いつも通りであります!」
「さらに味気がない獲物を食べる際のお塩……」
「お、親分、コプターたちは子供じゃないのであります」
「せっかく親分抜きで行動する日がもらえたのに……」
「これじゃ、一緒にいる時と変わらないであります」
どうやらこのコプター。普段は仕事や訓練に取り組む真面目な奴だが、今でも子コプターたちに対しての心配性もあるようで。
彼も昔はこんな風に小さかったのに、容姿と性格が『大人』になった影響なのか、何時までも子供の見た目である子コプターを率いては守る母性本能までも備わってしまったということなのか。
「……あ、あぁ、みんなの親分だからさ、つい、な。じゃあ、確認は終わったということで、これにて解散!夜の6時までには絶対に帰ってくるんだぞ!」
「「了解!」」
「いってきます、であります!」
でも、何事もなかったかのように即切り替えて、行動に移すのはせっかちである彼らの特徴なのだろう。
「『クレムリン以外の奴』にはついていくなよーー!」
「「はーい!」」
結局このワニ、まだ子分共を心配して、叫んでいるようだ。『知らない人について行ってはダメ』って意味だろうか。
しかしこの言葉が本当の意味で刺さることになろうとは、この時の子コプターたちは知らない。
ワニという生き物は気性が荒く獰猛なイメージを持たれがちだが、実は子供のワニにはとても優しく、子育てをする爬虫類でもある。
朝のランニングをしよう
「はぁ、ハラへったなぁ〜」
話し方がどこか子供ぽいこの青体色のワニはクリッターの上位種である『クラッシャ』。クレムリン軍団の戦闘員で、あの下っ端のクリッター以上に筋肉質で階級も上級兵と、まあまあな位についている。
どうやら早朝からランニングを開始しているようで、迷彩柄のタンクトップを着ている辺り本当に軍隊の訓練である。
しかも古参のクレムリンなので年齢も既におじさん……なのだが、若いクリッターたちからは今だに『クラッシャ兄貴』と呼ばれるほどなので、口で言っても体つきはまだ衰えていないようだ。
「弱音吐くにはまだ早いよ。さあ、あと1周頑張ろう!」
そんな彼を励ますのは、茶体色でふくよかな体型をしたクレムリン。木製のバケツを被っている、という如何にもマヌケな見た目をしているが、口調は真面目に聞こえる。
「ウェ〜、あと1周!? いやだなあー」
「ふっ、そんな調子では、何時まで経っても、上級兵のままだぞ」
「はぁ、はぁ、クランプは、変わらないなあ~」
「まあ、最近はあまり君と対等に、話せていなかったからね。クラッシャ、そっちも変わらずで、何よりだ」
彼はクレムリン軍団の参謀『クランプ』。軍団の総帥であるクルールの2番目に偉い奴。クラッシャがタメ口で話している通り、昔は上級兵同士で同僚関係だったが、その後様々な活躍を得て、このクランプは最高の参謀職にまで上り詰めたそう。
今でも共に仲はいいが、如何せん立場上的に仕事や訓練を一緒にする機会が少なく、今日の訓練でようやくといった感じ。
特にクランプの場合はクルールの『お供』として行動を共にし、時には彼から『特殊訓練』をさせられては、毎日忙しい日々を過ごすこともあるためだ。
しかも、
『今日はクルール様が不在なので戦闘員の諸君は、バナナジャングルでの訓練に励むように!』
と、このように今日の訓練もクルールの命で予め全体に指示をしていたのだ。
元からクルールに対して忠誠心が高いのもあってのことだろう。だからそんなボスからも信頼されて今日の指示を任される。これも上から2番目に立つ者の役目なのだ。
「じゃ、お先ー」
余裕のあるクランプはクラッシャより前へ進むと、彼らとは真逆の背丈をしているコプターが走っていた。今日はふたりと共に訓練しているようだ。クランプはクラッシャの時以上に笑顔で声を掛ける。
「やあ、頑張っているかい!コプター君!あ、無理なら、無視しても構わないよ〜」
「はぁ、ああ、短距離は得意だが、長距離はどうしても、横腹に響く、であります……」
と、コプターはクランプを無視することなく返答した。素早い動きがコプターの自慢ではあるが、持久力はまだまだのようだ。
「成程。君にしては、珍しいね」
「まあ、そうだな。逆に、貴方の方は……」
「まだ余裕だよ~!」
「ウヘッ!?」
そのふくよかな身体つきで何処にスタミナがあるんだ……!?と心の中で疑問し、驚くコプター。
どうやらたるジェットレースの時期に初めて出会って以来お互い仲良くなっている関係らしく、クランプとふたりきりの時にコプターはタメ口で話す。
そもそもクランプから「参謀同士タメで話し合おう!」と言われていたそうで。
しかも出会って数日で意気投合していたとか。これも昔からクルールの参謀を務め、今でも務めている者同士、故か。
「じゃあ、お先ー!」
とまたしても先々進むクランプ。まるで初代スーパードンキーコングの時みたいに腕を振りつつ、ガタガタと黒ブーツの足音を立てながら早歩きに近い走り方をしているぞ。
初登場時よりキャラクターデザインが大きく変わっても、『クランプ』であることには変わりないのだろう。
「み、見た目に反して、スタミナが半端ない……であります!」
「うぅ、ランニングもサボらず、毎日ちゃんと、走ろうと……」
ミリメシを食す
「お疲れ様! じゃあ朝ごはんにしようか〜」
と、早速ランニングを終えて、水を飲んでいるクラッシャとコプターに食事を差し出すクランプ。
その内容とは……
「レーション!? これ、昔食べてあまりの不味さにトラウマになったんだよなあ……」
「そうか? オレは必ずおかわりする方だったけどな〜」
とバクバクとレーションを頬張り食べるクラッシャ。走ったことで余程お腹が空いていたのか、その食べるスピードは早い。これに対しコプターは、
「長距離を走った直後に勢いで食べる貴方の行為に、自分はドン引きであります」
とツッコミを入れる。
「ははは、確かに昔は相当不味くて、野生のウシガエルに岩塩をかけて食べる方がマシと言われたものだ。でも今は味が改善されているから、安心して食べられるぞ〜」
「じゃ、じゃあ、頂くであります……」
恐る恐るレーションを口に入れるコプター。ワニなのであまり咀嚼する必要はないが、舌はあるので味を感じられるとか。
「ムグ……。アレ……?」
これには思わず顔をしかめる。しかし昔とは大きく違う味わいに、サジが止まらず食べ進める。その顔はまるで久しぶりに美味いものを食って、感動している状態である。
「う、美味い……! あのマズにくと呼ばれた肉も、パサパサだったビスケットも、全部が美味しくなっているんだぞ……!」
「軍の士気を上げるためには食事の量だけでなく、味も大切だからね。グルメである私にとっては、改善されて何よりだ」
クランプは持参していた鍋でお湯を沸かし、パックの中身を温めたモノを開封して鶏めしに注ぐ。大盛りの大豆カレーだ。
見た目は普通の食事で美味しそうであるが、活動エネルギーを維持するために通常より高カロリーに作られている代物であろう。
そしてそれをスプーンですくい一口、一口、丁寧に食していく。クラッシャとは真逆に優雅で食べ方が綺麗である。
「その通りであります。しかし今までレーションが不味かったのはどうしてなんだろう?」
「保存を優れさせるためとも言われていたが、なんせその時は食中毒事件があったからね。主にクリッターたちが発症していただけだったが」
「ワニには賞味期限なんて無意味なのに、何だかあの雑魚共に合わせている気がするぞ……」
ワニは身体を怪我しても瞬時に回復できれば、何かの感染症を引き起こすこともない免疫力が備わっている。
野生ではそれが当たり前なのだが、あのクリッター共にそれがないということは、元から野生で暮らし慣れていないのだろうか。
だから今だにコングファミリーに簡単に倒されてしまう……ということかもしれない。それを証拠に、
「あーそういえば、この間クリッターと道草に生えてたキノコ食べたけど、クリッターはすぐにハラ痛めてたなー」
「アヒャヒャ、流石下っ端〜!腹の耐久力も雑魚じゃん〜」
「毒キノコじゃなかったのかい?」
「分からない。でも赤くて白いブツブツが生えてて、何だか可愛いかった」
「ウへェ⁉ それ、ベニテングタケでありますよ!」
「やれやれ、結局毒じゃないか。でも君には無意味だったようで」
「ウデにもハラにも自信あるからな!」
しかしコイツに関しては耐久力どころか、毒耐性もあるようだ。流石、あのクリッター共の上位種といったところである。
いや、多分元から食いしん坊の馬鹿なので、しょっちゅう拾い食いをしているお陰で自然と耐性が付いたとも言えるかな。
しばらくして。
食べるのが早いコプターはレーションを完食しており、食いしん坊なクラッシャはおかわり、グルメなクランプはゆっくりと味わっていた。
「……子分たち、大丈夫かなァ」
「コプターは心配性だな〜 でもその気持ち分かるぞ。子供は可愛いから守りたくなる」
「サー、これでも成体済みでありますが」
コプターは早朝から自分と別訓練を行っている子コプターたちのことが気になるらしい。クラッシャもまた年配者のワニらしく子供好きなので、心配性の彼の気持ちは分かる様子。
そこで、
「上空に飛んでこっそり見守ればいいじゃない?案外見つからないかもね〜」
「じゃあ早速いってきます、であります!」
コプターはクランプの提案に速攻で乗り、子供らしくダッシュするのだった。
クレムリンのピンチだー!
「……」
子コプターたちがティキ族と対面しているのを、物陰で息を潜めて見ている者が二つ……
彼らはクレムリンの『クロバー』。
相手に普通のタルと見せかけて、近づいてきた際に大声を出して突進攻撃を仕掛けてくるという、かなり心臓に悪い雑魚敵である。
最近は公式がエミュレーターを使って移植しているお陰で、レトロゲームを最新機種で簡単にプレイ出来る時代。今でも初見プレイヤーをビビらせる活躍が出来ているのが彼らの特徴。何なら初見配信者にとっても笑いのネタとして利用されている。
生まれは古いキャラクターながらも注目されているだけ凄いこと、なのだろう。
(ふう、タルとしてやり過ごしていたお陰で)
(ティキ族に洗脳されずに済んだぞー)
どうやら彼らの近くでクリッターたちがティキ幹部衆に洗脳されていたが、タルの中で休憩していたこともあってか見つからずに済んだようだ。
そこで少し顔を出して、
「それにさ、どうするー?このままオラたちも加勢するとかー?」
「うーん。でも、コプターたちはとっても強いからそう簡単には……」
彼らが助けようにも戦闘力はコプターたちの方が上手だ。
だからこそ、ただ不意打ちで相手を押すことしか出来ない自分たちが出たところで、足手まといになるだけだし、逆に洗脳されることもあるということだ。
そう言っている間に……
「「ワーー!」」
「げ、やられたぞ!」
「これはピンチだ! だったらオラたちのやることはひとつ!」
「「クランプ先輩たちに報告だー!」」
そこでクロバーたちは、軍団の中で相当強いクランプたちの方へ急いでダッシュする。
それと同時に、
「ご馳走様。いやー、いい味だったなあ」
「またみんなでレーション食べよう!」
食べ終わったレーションを片付けているクランプとクラッシャ。そこへ、
「大変だ、大変だーー!」
「あれ?」
「クロバー君たちではないか。そんなに慌ててどうしたんだい?」
「ティキ族が、クリッターたちを操ってー!」
「コプターたちをボコボコにー!」
「えーー!それは大変だー!……って、ティキぞくって、だれだっけ?」
クラッシャのボケに『ズコーー』とズッコケるクロバーたち。しかし一方でクランプは冷静に、
「ドンキーコングリターンズで登場した敵勢力だ。まさかクルール様やドンキーコングが不在の中、強襲して来るとは……」
「出会ったことはないけど、もしかして強いのか?」
「どうだろうね。少なくとも洗脳しか取り柄のない後輩共に遅れを取るなど、私としては有り得ないことだから……」
とオレンジ爆弾を片手に持てば、即座に立ち上がるクランプ。クルール不在の今、クレムリンのボスは彼が担っているところもあるのだ。
「じゃあ早速向かおうかな。クレムリンに喧嘩を売ったあの後輩ちゃんたちに、キチンとお灸を据えてやらなきゃね〜」
「ク、クランプ、少しは手加減してやれよー……」
口調は柔らかいが、見た目の大きさも相まって無機物であるティキ族をガチ壊しそうではあるが。
一方別の場所では、コプター。
(よし、ここら辺でいいかな。プロペラを起動して……)
「「親分助けてーー!」」
「!? アイツらの声か!待ってろ!今からこの親分が助けに行くからな!」
数分後。
「あれ?コプター君が倒しているじゃないか〜 流石は最強の飛行戦闘員。それでは全員捕らえよう!」
「うん?あれは……」
もうひとつの裏ストーリー。
コプターの子分を想いやる気持ちと、タルに化けながら機転を上手く効かせたクロバーの活躍によって、ティキ族は駆けつけたクランプとクラッシャによって捕まるのであった。
おまけ「恐怖の反省会」
クレムリン軍団とティキ族が初めて対面し最終的には仲良くなった次の日の早朝、クレムリン島にて。
クリッター「こんな朝早くからホールに呼び出すなんて。クルールさまは何を考えているんですかねえ」
クラッシャ「ふぁ〜ねむい」
クランプ「やれやれ浮かれすぎだ。いいかい、クルール様が呼び出したということは、恐らくあのティキ族の件だろう」
クリッター「も、もしかして報告したんですか……?」
クランプ「言ったら言ったで『クリッター共は洗脳されていたのか?』って言われるから黙ってはいたが、もしバレちゃったものは仕方ない。一応私もフォローするけど、君たちも聞かれた際にはまともな嘘をつくことだね」
クリッターたち「「エェ……」」
クルールがホールに入ってきた。整列している皆を見つめる中、
クルール「早朝から大変にご苦労だな、お前たち。ん? コプター、子コプター共はどうした?」
コプター「サー、申し訳ありません。昨日の訓練で体調を崩したみたいであります……」
クルール「そうか、そうか。クレミス島出身のクレムリンは環境の変化に慣れんからな。でもお前が大丈夫ならそれで構わん。今後も大事にするよう伝えておくといい」
コプター「了解」
クルール「で、早速本題に入ろうか。オレさまがここに呼び出した理由は……分かるよな、クランプ?」
クランプ「無論ですとも!バナナジャングルでの訓練の反省会ですね。皆さんいつも通り最後までやりと……」
クルール「それはもう昨日にやったんだよ! ったく、これじゃ呼び出した意味がないだろうが!」
クランプ「そうでした!と、言いますと?」
クルール「……ティキ族の件でな。オレさまそのボスにちょっと用があったし。それと同時にお前たちがティキ族に遭遇した可能性があるということでな」
クランプ「成程、ティキ族のアジトに。しかし何故、私たちが彼らに遭遇したと?」
クルール「そいつの部下が『デブワニの手下共を洗脳してティキたちの仲間に加えロ!』なんて大声で言っていたからなあ!」
クリッターたち「!?」
クランプ、コプター「……」
クラッシャ「?、?」
心当たりがあるのか驚き、焦るクリッター一同。
クランプやコプターはどうせバレると分かっていたため無言で目を閉じ、クラッシャとそれ以外は分からずな表情だが。
クルール「あのボスや部下は気づいていなかっただろうが、オレさまにはバッチリ聞こえていたからな。それで、奴らには遭遇したか?」
クラッシャ「ティキぞくって、なんだろう?」
クリッター「そうそう、聞いたことないですよねー」
クロバー「オラたちはいつもタルに隠れているので知らないです」
クルール「ただし洗脳できる奴らは全員、空を自由に飛べて上空から探すことが容易ではあるがな。クロバーは流石に見つかりにくいが、クリッターやクラッシャは見つかるはずだろう? 身体つきが大きいからな」
青クリッター「そ、そんなまさかー」
クラッシャ「でも、逆につかまえたよ。カディちゃんって言って可愛い子で、何もしなかったし」
クリッター「あ、兄貴それは……」
クラッシャ「え?」
クルール「遭遇しているではないかーー!クランプ、昨日の報告と違うぞ?」
とクランプを睨みつけるクルール。クランプは少々焦るが上手く話を進めつつ、
クランプ「え、ええ…… 大事には至らなかったので。むしろ私がティキ族を普通に返り討ちにしました故、報告する必要は無いと判断したまでです」
クルール「まあいい。お前たちがティキ族に洗脳されていなければそれで構わんわ。オレさまを裏切ることなんてないだろう?」
クリッター「そりゃ、もちろんですとも!」
クリッター2「オレさまたちは決してあんな奴らに洗脳なんかされてませんぜ!」
青クリッター「クルールさまを裏切るなんて、絶対にありえませんよ!」
クルール「……コプター、1ヶ月前にクレムリン全員で洗脳診断テストを実施したよな」
コプター「はい」
クルール「お前がそのチェック担当したわけだ。このクリッター共の診断結果は?」
コプター「100%の者が確実に洗脳されやすいという結果でありました」
クリッターたち「「エェッーー!?」」
クリッター「じょじょ、冗談だと言って下せぇよ!」
青クリッター「オレさまたちはほこり高きしたっぱなのにー!」
クロバー「バカだー」
クラップトラップ「バカワニダ!」
クラッシャ「スゴイな!そのテストってオレもどんな結果だったー?」
クルール「エエィ、黙れェェ!!」
と騒いでいるクリッターたちを怒鳴るクルール。これには彼らもシュンとする。
クルール「ハアー、だろうと思ったわ。ていうか、そんなテストをせずとも既に分かっていたし」
とコプターの肩を叩くクルール。
クルール「次いでにあの馬鹿共に教えてやれ。洗脳されないための心得とやらをな」
これもティキ族に洗脳されていないことを分かった上なのだろう。そこでコプターは淡々と話し始め、
コプター「……常に目標を掲げて己を磨くことを怠らず、現状に満足しない。特に甘言蜜語、甘い話には乗らないこと。これが洗脳されない心得であります」
クリッター「なんかよく分からねえ」
クラッシャ「甘い話って、ケーキの話だっけ?」
クランプ「要するにウソの情報に流され、だまされやすい奴が洗脳に引っかかりやすいってことだ。クラッシャ、君は頑張り屋でまだマシだが、もう少し『何かをうたがうこと』を身につけた方がいいぞ」
クランプが皆に分かりやすく教え、次いでにクラッシャにも重要部分のアドバイスを送る。クラッシャは何となく理解出来たのか、
クラッシャ「うたがうこと、か…… うん、分かった。ありがとう、クランプ!」
クランプ「いいってこと。……と、この診断は建前の話ですよな、クルール様」
クルール「そうだ。ティキ族の洗脳なんて非現実的な魔術だから、いくら馬鹿でなくても操られる可能性がある。でもオレさまに常日頃、忠誠を誓っているのなら絶対に操られるはずはないのだ。つまりあんな奴らに操られたということは…… その程度の器だったということだよ!」
クリッター「か、完全にオレさまたちのことじゃん……」
クラップトラップ「ワニ、操ラレタ、ゴメンワニ……」
クルール「洗脳されたことを認めたのなら少しは許そう。しかし裏切り者は当然、罰を受けるのが決まりだ。最後に今回の件。誰がコイツらを罰した?」
クランプ「あ、それは……」
コプター「自分であります!」
と手を挙げるコプター。
クルール「オー、流石は天才科学者バロンクルールの参謀よ!で、この裏切り者を全員痛めつけたんだろう?」
コプター「はい」
クルール「でも、傷が深くはないがな?」
コプター「……」
クリッター「す、少しは痛かったですけど……」
コプター「今回は調子が悪かったかもしれないであります」
クルール「頭は優秀なのに力は雑魚だなあ。もしオレさまだったらティキ族は全員再起不能にした上で、クリッター共の全身の骨2、30本は折っていただろうに……」
クリッターたち「ヒェッ!?」
コプターのことなので手加減していただろうが、もしあの時の相手がクルールだったらティキ族だけでなくクリッター全員も無事で済まなかったことが分かる恐怖発言。
流石は大悪役、クレムリン軍団の総帥である。
クルール「……2024年も終わりが近づいている。この際だから言ってやろう。もうすぐオレさまたちがドンキーコングシリーズに姿を消してから18年の時が経とうとしている」
クリッター「もうそんな年に!?」
クリッター2「しかもその年に生まれた子供も高3だぜ……」
クラッシャ「オレはそれ以上だけどね〜」
クルール「その上、久しぶりに復活したスーパードンキーコングシリーズの続編であるリターンズやトロピカルフリーズでは、他の勢力が出番を取る始末よ。一応その後のスマブラSPでファイターとしてオレさまが参戦出来たがな」
クロバー「でもUSJには、いないです……」
クラップトラップ「ワニモ、出タカッタワニ……」
クルール「その気持ちも分かるぞ。しかし何があろうともドンキーコングの宿敵はオレさまたちクレムリン軍団である!だから一番の宿敵は後輩の敵勢力より強く!賢くなくてはならん!それはオレさまだけではなくお前たちもだ!何時か来るドンキーコングシリーズ完全新作で復活するその日まで、今後オレさまと共に毎日祈願、鍛錬に励もうではないか!」
一同「「ーー!?」」
クリッター「あの、祈願は良いけど、毎日鍛錬はちょっと……」
クラッシャ「えー、日に日に強くなって楽しそうじゃないかー?」
クルール「そこは、ハイ!と答えろよ!空気の読めないとんま共め!これじゃボスらしく演説した意味ねえじゃねえか!」
クランプ「……! も、申し訳ございません、クルール様!貴方様の演説に、とても心を打たれておりました!」
コプター「クレミス島、3のクレムリン…… 絶対に再登場するはずもなかった中でコプターを呼び戻した貴方様だ。このコプター、クルール様のように毎日、己を磨いて強く賢くなって見せるであります!」
クランプ「勿論私もですぞ!全てはクルール様の為に!」
クリッター「って、そこまでですかい!?」
青クリッター「メンタル強すぎですって!」
クラッシャ「オレもがんばろう!」
クルール「よしよし、参謀共はよく分かっているな。だったらこの際だ。年を越すまでの5日前に『ふぶきのたに』へ行こうではないか!特殊訓練にな!」
クランプ「了解ですぞ、クルール様!あ、アレ、ふぶきのたにで、特殊訓練……、話が違……」
コプター「あんな場所を5日前に!? せめて2日前にして下さいでありますーー!」
青クリッター「なんてこった、参謀たち冬休みなしだなんて」
クリッター「特に冬場だと、二度と行きたく場所だぜ……」
クラッシャ「暑いのはガマンできるけど、寒いところで訓練はイヤだな……」
クラップトラップ「地獄ダー!」
クロバー「ワニだからねー」
今回のティキ族の件を解決したのもあってか、クルールによってふぶきのたにへ強制訓練させられた唯一個体であるクランプとコプター。その上ボスと共に年を越すことになる話はまた別の機会に……